上本佳奈(うえもとかな)さんのインタビュー



広島市立大学の修士課程1年生の上本佳奈さん。

-修士になって、忙しいですか?
そうですね。
古典模写をしているんですが、時間がかかるというか…(笑)
法隆寺壁画六号壁の部分模写をしています。
通常は、夏に実物を見に行くコースがあるんですが、 コロナで中止になって、本物を見に行けないんです。

-ほかにコロナで中止になったことは?
去年は大学祭も中止になりました。
それで、ギャラリー718で展示させてもらいました。

-先日の東京でのグループ展はどうでしたか?
これまで平面作品の人としか(グループ展を)やったことがなくて、
東京では、現代アートというか、映像と立体を組み合わせた作品を 作っている人とか、グラフィックの人とか、コラージュをやっている人とか 美容師で実際に切った髪の毛を使って作品にしている人とか、
いろんなことをしている人がいて、とても刺激になりました。

-コロナ渦の影響はどうですか?
広島に緊急事態宣言が出されたとき、2週間自宅待機になったので、 家で制作したんですけど、全然進まなかった(笑)
学校だと、椅子にすわって、作業台に向かうんですが、 家だと、畳に座るし、テーブルは小さいし、やりにくくて、、、
縮こまって、のびのびできない感じでした。

-今回の出品作品「歯車」について
「時間」が最近のテーマになっています。
だれにでも平等にあるのに、なにもしなかったり、 充実した時間をすごしたり、人によって違う。
去年初めてコロナで大学が休校になって、 2か月くらい行けなかったんです。
その間描こうと思えば絵は描けたんですけど、 なかなか進まなくて、 その時間が、後悔というか、無駄だったな、もっと ちゃんとしておけばよかったな、 とすごく感じてしまって、それがきっかけでもあります。

-作品「痕跡」は山口県の大津島の風景ですね。行かれたんですか?
はい、実際に行ってみました。
人間魚雷回天が造られて、発射されたところです。
回天を題材にしたマンガがあって、それを読んで、 死や生きることを考えさせられて行ってみました。
島には資料館があって、ひととおり見たんですが、 まわりの風景からも、過去にそんなことがあったことをあまり感じられないというか、
日常に戻ったっというか、 過去にあったはずの事実だけど、 時間とともに消えてしまいそうな、
むなしさみたいなものが感じられる場所だったので それを表現してみました。

-「蜘蛛の巣」という作品は?
「クモのイト」っていう本があって、蜘蛛の糸は こうやってできているんだよ、という クモの努力が書かれているんです。
それを読んで、蜘蛛の糸には、こんな壮大な世界がかくされているのか、 と奥深さに感動して描きました。

-絵のテーマは本などから着想するんですか?
興味があるものを読むと、そうなります。
読むのは好きですが、読書家ではないです(笑)
読書はしたいと思ってるので、徐々に読みたいなと思っています。

-本は、本屋さんで探すんですか?
そうですね。本屋さんに行きます。
そのテーマの本を探しに行くというより、 動物とか好きなので、ぶら~っとして、 これいいじゃん!と思って、買ったりします。

-これからの予定は?
修士課程を卒業したら、大学を離れて、アーティストとして 活動したいと思っています。
枠にとらわれず、のびのびとやってみたいので、 大学生の間にできなかったことをいろいろしたいと思っています。

====

卒業したら、海外も回ってみたいとおっしゃっていました。
いろいろなことをどんどん吸収していってほしいですね。
どうもありがとうございました(2021/7/17)